日々、紫外線や雨、風の影響を受けながら、じわじわと劣化している屋根。
ダメージや劣化の度合いが目に付きにくい部位ですが、メンテナンスをおろそかにすると損傷を受けて雨漏りなどのトラブルにつながる可能性があります。
日本では、カラーベスト(セメント系薄型スレート)や金属、アスファルトシングル、セメント瓦、そして粘土瓦とさまざまな屋根材が使われていますが、最も耐久性が高くて長持ちするのはどれなのでしょうか。
今回はそれぞれの屋根材の特長を挙げながら、その耐久性や寿命、メンテナンスの頻度について徹底検証します。
カラーベスト(セメント系薄型スレート)は、軽量性と低価格が人気の屋根材で、現在、大半の住宅の屋根に使われていると言っても過言ではありません。
一般的には15~25年で寿命を迎えるといわれていますが、防水機能だけを考えたとき、屋根材としての寿命は30年ほど持つ場合もあるでしょう。
しかしカラーベストには大きな問題があります。
それが「退色」の問題。
屋根材の機能としての寿命は30年ほどですが、毎日紫外線を浴びることで、年々退色が進み、約10年で色があせてしまうのです。
立地条件によってはたった3年で退色が発生します。
屋根は、断熱や防水などの機能面とともにデザイン性も重視したい部位。
色あせて汚れていると、やはり住まい全体の印象が悪くなってしまいます。
カラーベストの場合は、機能としての寿命だけではなく退色にも注意しなければいけません。
退色が気になりだしたら業者に相談をしたうえで再塗装をして、美しい屋根を取り戻しましょう。
最近シンプルモダンといわれるデザインの住宅が好まれるようになってきたことによって、ガルバリウム鋼板という金属を屋根に葺いた住宅が増えてきました。
同じ金属でも物置などに使われているトタンとは違ってサビに強い金属として知られています。
ただ、いくらサビに強いといっても塗装によって基材(金属部分)が守られていることは、トタンと変わりません。
その塗装も紫外線によって劣化が進むので、およそ15年で再塗装が必要でしょう。
■アスファルトシングルの寿命とメンテナンスについて
アスファルトシングルはその名の通りアスファルトシートを使った屋根材のことです。
日本でのシェアはまだ小さいですが、アメリカでのシェアは80%以上。デザインの良い輸入品も多く、人気が高まっています。
寿命は25年~30年。最近では商品の性能とともに耐久性も高まっていますが、まだまだ他の屋根材と比較すると、耐風性に劣る部分があります。
また素材自体の吸水性が高いため、表面にカビが発生しやすいのも注意すべきポイントです。
セメント瓦は古くから使われてきた粘土瓦より安価なことから一時期流行した瓦です。
重量の重さと色褪せの速さが不評となり、今では人気がなくなってしまいました。
そんなセメント瓦ですが、屋根材の機能としての寿命は30年~40年と比較的長いのが特長です。
カラーベストと同じく、退色によって美観が損なわれるため、やはり10年に1度程度は塗装をし直す必要があります。
またそれまでの間にも、カビ・コケが発生する恐れがあり、定期的なメンテナンスが欠かせません。
粘土を原料にして作られる粘土瓦は、日本古来から使われてきた屋根材です。
うわ薬を塗布して焼き上げたのを陶器瓦と呼び、うわ薬なしで焼き上げ、最終段階でいぶすことによって表面に炭素皮膜を形成させて銀色に仕上げたものを「いぶし瓦」と呼びます。
粘土瓦は外壁に使うタイルと同様、基材自体がセラミックなので紫外線による劣化や退色がないので、再塗装の必要がありません。
そんな粘土瓦の寿命はすべての屋根材で最も長い100年以上。半永久的に長持ちする、非常に耐久性に優れた屋根材なのです。
また同じ瓦でもセメント瓦とは違ってカビ・コケの発生もないので美しい状態を長くキープできます。
つまり他の屋根材とは違って、瓦自体はメンテナンスをしなくても長持ちするのです。
メンテナンス不要ということは業者を呼ぶ費用がかからないということ。
とてもランニングコストにも優れているので、長い目で見たときにお得に使えるのもメリットです。
ただし一点だけ気をつけるポイントを挙げるとすれば、地震や台風などの災害で瓦がずれたり飛ばされたりする可能性があること。
その場合は、業者に連絡して直してもらう必要があります。
今回は4種類の屋根材の寿命と耐久性について検証しました。
4種類のうちで最も寿命が長く、メンテナンスの手間や費用がかからないのは「粘土瓦」です。
瓦そのもの自体にメンテナンスが要らないのがその大きなメリットでしょうが、従来の施工方法では、やはり台風や地震などの災害に見舞われたときは、瓦がずれたり、落下してしまったりするケースがあります。
そんな万が一のトラブルをなくすためにオススメしたいのが「ポリフォーム工法」。
ポリフォーム工法とは、従来の、瓦を釘やビスで固定する方法とは違い、「ポリフォーム」という強力な接着剤を用いて瓦を敷きつめていく施工方法のことです。
注目すべきはポリフォームの接着力の強さ。
どんなに大きな台風や地震に見舞われてもビクともしない接着力を誇っており、毎年巨大なハリケーンが到来するアメリカのフロリダ州では使用が条例で義務づけられています。
まさに“世界最強”といわれる瓦葺きの工法なのです。
日本でも、台風による被害が多い沖縄の大型リゾートホテル等での採用が年々増えています。
皆さんも粘土瓦とポリフォームを組み合わせて、メンテナンスフリーでトラブルのない屋根を実現しませんか?