私たちの暮らしに多大な影響を与える災害の一つに、雪があります。雪害は豪雪地帯特有のものというイメージが強いかもしれません。しかし大寒波による記録的な降雪も記憶に新しく、交通網や住宅に多大な損害をもたらしました。雪があまり積もることの無い地域でも、雪害対策は重要といえるでしょう。
そこでこの記事では、雪が住宅、特に瓦屋根にどのような影響を及ぼすのかを解説した上で、雪害を防ぐ方法をご紹介します。
まずは住宅への具体的な雪害を見ていきましょう。
1-1.屋根
雪が直接積もる屋根は、被害を受けやすい箇所の一つです。雪の重みによって、屋根が歪んだり破損したりしてしまうことがあります。また、積もった雪が滑り落ちる時に、引きずられて瓦がずれたり、引きちぎられて脱落することさえあります。
大屋根(2階建ての2階部分の屋根)に積もった雪が落ちて、下屋(1階部分の屋根)の瓦を割ってしまうことも多々あります。
さらには、屋根の谷になっている部分に雪が溜まり、雨漏りすることも。
1-2.雨樋
積雪による被害の中で、最も多いのが雨樋の歪みです。元々強度がある部分ではなく、特に軒の前にある軒樋は雪の重みで歪んでしまうことは珍しくありません。
1-3.カーポート・テラス
あまり雪が多く降らない地域の場合、カーポートやテラスは積雪対策をしておらず、強度不足で壊れたり倒れたりしてしまうことがあります。
1-4.アンテナ
アンテナも雪の重みや落雪の衝撃で壊れやすい部分になります。
1-5.隣家
自分の家の雪が落ちて隣家の屋根や外壁へ与える被害は、近隣トラブルにも発展しやすい雪害の一つです。雪があまり降らない地域の場合、屋根から雪が落ちることを想定して設計されていないので、隣家に落雪してしまうことが多いのです。
また、持ち家に対する雪害であれば、火災保険の加入内容次第で保険が適用されますが、隣家への雪害は対象外となってしまいます。
次に瓦屋根に絞って、どのような雪害があるのかを見てみましょう。
2-1.瓦が割れる
屋根瓦に多い雪害の一つが、瓦が割れてしまうというものです。
原因は大きく二つあり、一つ目が衝撃による割れ。前述しました通り、大屋根に溜まった雪が滑り落ちて下屋の瓦を割ってしまうのです。局所的な被害だけで済みますが、雪害に慣れていない地域では気付きづらく、雨漏りなどの二次被害にもつながります。
二つ目が、凍て割れというものです。これは積もった雪の水分が瓦に染み込み、凍ることで膨張して瓦を割ってしまうというものです。凍て割れは古い瓦の一部に見られるものですが、被害が広範囲に及びやすい特徴があります。
2-2.瓦がずれる
瓦がずれてしまうのも、瓦屋根特有の雪害といえるでしょう。雪の重みや、雪滑りで負荷がかかることが直接的な原因です。瓦のずれは、瓦の留めつけ方法によって起こりやすさが変わります。
最後に、雪による被害から住宅を守る方法をご紹介します。
3-1.ポイントは「落雪を防ぐ」こと
先述した雪害の具体例を見れば分かる通り、多くの被害は屋根に溜まった雪が落ちることによって引き起こされます。つまり、屋根に落雪対策を施すことによって、雪害を最小限に抑えることができると言えるでしょう。
具体的な方法を見ていきましょう。
3-2.雪止めによる落雪防止
屋根からの落雪を防ぐためには、雪止めを取り付けることが最も有効です。
雪止めには主に次の2つがあります。
・雪止め瓦 | ・雪止め金具 |
雪止め瓦とは、輪や駒の様な形をした雪止めが取り付けられた瓦です。瓦屋根の場合、雪止めを設置したい箇所の瓦を取り替えるだけなので、簡単に導入することができます。
雪止め金具は金属製の雪止めで、様々な種類があるので、瓦だけでなくスレートや洋瓦など、様々なタイプの屋根に対応することができます。
3-3.ポリフォームによる瓦の補強
瓦屋根の場合、瓦自体を補強するのも有効な対策の一つです。その中でも特におすすめしたいのがポリフォームです。
ポリフォームとは、釘やビスを使うことなく、専用の接着剤で屋根に瓦を留める方法です。もともとハリケーン対策として開発されたもので、台風や地震に対しても抜群の耐久性を誇ることから、注目を集めている工法です。
ずれに強くなるだけでなく、土やモルタルを使わないので屋根全体を軽量化することができます。また、接着剤自体が高いクッション性を持つので、落雪に対する衝撃や雪の重みからも瓦を守ることができます。
2014年の豪雪の記憶もまだ新しい中、今年2018年にも記録的な降雪がありました。あまり雪が降らない地域は降雪対策が疎かになっており、このような異例の降雪によって、大きな被害を受けてしまいがちです。
ちょっとした対策で深刻な雪害を防ぐことできるので、ぜひここで紹介した対策法を参考にしてみてください。