2019年は多くの台風が上陸し、各地に大きな被害をもたらしました。不安な思いで過ごされたり、被害に遭われたりした方もたくさんいらっしゃったかと思います。
2019年9月に発生した台風15号は、千葉で最大瞬間風速 57.5 m/sを記録し、台風が過ぎた後には、屋根をブルーシートで覆った家々の映像が繰り返しニュースで報道されました。
今回は、台風15号で実際にどのような被害が起こっていたのか調査した結果をもとに、台風が通り過ぎた後に行いたい、屋根のチェックポイントをご紹介したいと思います。
■台風15号の被害調査
台風15号は、非常に強い勢力で千葉付近に上陸し、多くの地点で観測史上1位の最大風速や最大瞬間風速を記録しました。
台風後、千葉県安房郡鋸南町から千葉県南房総市を中心に屋根の被害について調査をした結果が報告書としてまとめられています。(調査: 2019年10月 全日本瓦工事業連盟・全国陶器瓦工業組合連合会 合同調査チーム|http://www.kawara.gr.jp/201910_report.pdf )
上記の調査結果によると、築年数が10年未満の建物であれば、飛来物による要因以外は屋根に被害は見られなかった(南房総市富浦付近)という地域がある一方で、築年数・屋根材に関係なく約9割の屋根に被害があった(鋸南町岩井袋付近)という地域もあったそうです。
いずれにしても調査した地域においては、築30年以上のすべての建物で、屋根材の種類を問わず100%の確率で屋根に何らかの被害が発生しています。これは平成13年の「瓦屋根設計・施工ガイドライン」に準拠した工法で施工されていないことが考えられるほか、薄型化粧スレートや金属屋根の場合は、屋根材本体の劣化、屋根下地の劣化が被害を発生させた要因だと思われます。
現在の施工方法や防災タイプの屋根材によって通常の台風に耐えられることが実証された反面、近年頻繁に発生している超大型台風による想定以上の強風で、築年数の新しい住宅でも被害が出ていることから、築年数に関わらず、「瓦屋根設計・施工ガイドライン」への準拠などの現在の施工基準でも安心はできない結果となっています。
上記は薄型化粧スレートの例ですが、最も被害の大きかった鋸南町岩井袋付近では、築年数の浅い物件でも屋根の平部が飛散。くぎ抜けではなく、本体が真横方向に破断していました。この地域の薄型化粧スレート屋根の施工基準は基準風速38m/sまでが標準工法ですが、それ以上の強風にさらされた可能性があります(「令和1 年台風第15号による屋根被害視察報告書」より)
■台風の後にはここをチェック! 屋根の確認ポイント
台風が通過している間は、雨漏りなどが起きても、外に出て確認するのは大変危険です。屋根のチェックは必ず台風が去ってからにしましょう。
また台風後の点検も、危険ですので屋根には上がらずに下から見える範囲で行いましょう。写真で記録しておくと被害状況を伝えやすく、保険の申請をする際の資料にもなります。
それでは、チェックするポイントを具体的にみていきましょう。
・屋根材の飛散やズレ
まずは瓦等の屋根材が飛散していないかを目で見て確認していきましょう。台風15号の被害では、釘打されていない瓦が飛散した例が報告されています。築年数が古い住宅では、瓦が釘打ちされていない場合もあるため特に注意が必要です。
台風の後には、瓦の飛散とともに瓦がズレていないかもチェックしましょう。瓦は1カ所ズレているだけでもバランスが崩れ、大きな事故になる可能性があります。屋根の劣化を防ぐためにも、少しのズレでも早めに修理を依頼するようにしましょう。
・屋根材の破損
少しの破損だからと屋根材の被害を放置してしまうと、次の災害で被害が拡大したり、落下したりすることも考えられます。台風15号の際には大丈夫でも、1ヵ月後に発生した台風19号によって、屋根の被害が起きた住宅もありました。「このくらい大丈夫だろう」と考えずに、気になる破損を見つけたら被害が広がる前に修理しておくことが大切です。
また、屋根材の破損部分から雨風が染み込むと、家の柱や外壁、また最悪のケースでは内装にまで影響が出てしまいます。大事な住宅を守るためにも、屋根材の破損箇所をチェックしておきましょう。
・棟の崩れや漆喰の剥がれ
台風の強風にあおられて棟が崩れてしまっていないか確認しましょう。棟は、屋根面の合わせ目を塞ぎ、雨水を両側に流す役割をしています。棟が崩れていると雨漏りの原因になります。
棟の瓦は、葺き土と呼ばれる土台の上に積まれています。雨水が葺き土に当たってしまうと、土が流れ、棟の瓦がズレやすくなります。葺き土に雨水が直接当たらないように漆喰が塗られていますが、台風の強風や雨水によって漆喰が剥がれてしまうことがあります。棟内部に水が入ってしまうと、漆喰だけでなく葺き土のバランスが崩れてしまいます。棟が崩れてしまう前に、漆喰の補修工事を検討しましょう。
・板金や釘の浮き
今回の調査では、化粧スレート屋根の端部分のケラバ板金や片流れ屋根の包み板金が飛散した例が報告されています。また、屋根材を固定する釘が浮いていると、風にあおられた際に抜けてしまい、屋根材がめくれたり飛散したりしてしまいます。
台風後の板金や釘の浮きは放置せずに、すぐに修理しましょう。釘が打たれた箇所は定期的に点検し、釘の浮きを発見したら早めに補修しておくことが重要です。
・飛散物による破損
築年数が新しい住宅でも、他からの飛来物によって屋根が破損した例もありました。最大瞬間風速 57.5 m/sで飛んできたものが屋根に直撃すれば、耐久性が強いといわれる瓦でも破損することがあります。「建てたばかりだからうちの屋根は大丈夫」と安心せずに、台風後には必ず屋根を点検するようにしましょう。
また、ご自宅の屋根が被害にあう以外にも、屋根材が飛散して近隣の住居や自動車等に被害を与えてしまう危険性にも注意が必要です。最悪の場合には人の命を奪ってしまう可能性もあります。自然災害に備えて、日頃から屋根全体のチェックやメンテナンスをしていくことが大切です。
■災害で被害を受ける前に!施工方法で対策を
台風15号の調査報告でも指摘されていたように、「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」に準拠し施工された屋根であっても、被害が出ている例も多数あります。それでは、台風の被害を抑えるためには、一体どのような対応をすればいいのでしょうか。
今回の台風15号では、千葉での最大瞬間風速は57.5 m/sでしたが、米国フロリダ州ではそれを上回る風速のハリケーンが毎年のように上陸しています。そこで現地の条例で義務化されているのが、ポリフォーム工法です。ポリフォームで屋根を強力に固定することで、50年、100年に一度と言われるようなモンスター台風による想定外の強風でも、屋根材の飛散・ズレが発生しにくくなります。瓦屋根だけでなく、様々な屋根材で施工可能です。
自然災害で屋根に大きな被害があると、復旧工事の費用が高額になったり、雨漏りによる二次災害が発生したりしてしまいます。災害で被害を受ける前に、実績あるポリフォーム工法で、台風が来ても安心して過ごせる屋根にしてみませんか。
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