日本の夏は毎年のように台風が訪れ、住まいは強い雨風にさらされます。そのたびに「うちの屋根は雨漏りしないかな」と気になることもあるのではないでしょうか。
雨漏りを心配する場合、多くの方が「屋根材の割れ」や「屋根材・塗装の劣化」を気にされるようですが、実は原因が違うところにあることも多いのです。ここでは、屋根がどのようにして雨水の浸入を防いでいるのかを構造的に解説し、雨漏りを防ぐ方法についてご紹介します。
■どの屋根にも共通する基本構造とは
まずは代表的な屋根の基本構造についてご説明します。屋根材の種類はさまざまありますが、どの屋根もほとんど構造や機能は同じです。
【垂木(たるき)】
屋根に傾斜をつける木材のことです。一般的には、屋根の一番高い棟(むね)と呼ばれる部分から下の軒(のき)に向けて、斜めに長い木材が取り付けられます。約45cmの等間隔で屋根部分一面に設置され、一定の角度の屋根が作られます。
【野地板(のじいた)】
垂木の上に設置される板状の下地材です。主に厚さ9mmまたは12mmのコンパネ板が使用されます。
【ルーフィング(防水シート)】
雨漏り防止の防水シートです。野地板の上に設置されます。最も普及しているものが「アスファルト・ルーフィング」というもので、シートそのものにアスファルトを染み込ませてあり、防水性が高められている建材です。
【桟木(瓦桟木)】
粘土瓦を葺く際、瓦を屋根に留めるために屋根の上に横に張りわたす角材です。ところどころに凹を加工したり、桟木の下を流し残で浮かすなどで、雨水を排水する工夫が施されます。瓦を留め付ける構法としては、古くは葺き土の密着力が頼りの土葺き工法が行われていましたが、現在は引掛け桟瓦工法が主流となっています。
これらが瓦や化粧スレート、金属屋根といった屋根材の下にある基本構造です。普段私たちの目には触れませんが、このように屋根の構造を形作っているのです。
■屋根材の種類と設置方法
次に、屋根の仕上げとなる屋根材を見てみましょう。代表的なものは「粘土瓦」「化粧スレート」「金属」「アスファルトシングル」です。屋根の棟部分については屋根の特定部分に使われる特殊な瓦や部材がありますが、ここでは屋根部分のメインに使われる素材と設置方法についてご説明します。
【粘土瓦の設置】
ずっと昔は屋根の桟木に粘土瓦を引っ掛けているだけでしたが、現在は地震や突風などで落ちたりずれたりしないようにビスや釘で固定しています。波打つ瓦を少しずつ重ね、ルーフィング材の上から固定します。
【化粧スレートの設置】
化粧スレートとは、薄いセメント板の屋根材です。粘土瓦と同様に、少しずつ重なるように配置しながら屋根全体を覆い、錆びにくいステンレス釘を打ち付けて固定します。
【金属屋根の設置】
ガルバリウム鋼板など、金属板の屋根材を設置するのが、金属屋根です。「瓦棒葺き(かわらぼうぶき)」という方法が最もポピュラーな施工方法で、屋根全体に広がる金属屋根の部材の「面」を、瓦棒の「線」で上から抑えるように設置します。瓦棒の上からビスを打つことで、瓦棒も屋根材も一緒に固定します。
【アスファルトシングルの設置】
アスファルトシングルは、アスファルト防水シートを屋根材用に加工した屋根材で、北米では100年以上前から使われている定番の屋根材です。葺き方は化粧スレートに似て「シングル釘」で屋根材を固定しますが、併せて「シングルセメント」という接着剤を使用するのが一般的です。
屋根材によって設置方法は多少変わりますが、基本的には釘やビスを使い、屋根材をルーフィングごと野地板に固定する点に変わりありません。
■雨水の浸入を防ぐ最後の砦は「ルーフィング」
私たちは、雨漏りを防ぐのは目に見える粘土瓦や化粧スレート、金属屋根、アスファルトシングルなどの屋根材の仕事だと考えがちです。しかし、大量の雨が降ると、雨水は屋根材の下にも入り込みます。屋根材で止められなかった雨水から屋根を守っているのは、防水シートであるルーフィングです。このシートが水をはじき、屋根材の下に流れる雨水を軒先まで流す働きをします。つまり、ルーフィングこそが雨漏りを防ぐ最後の砦なのです。
■雨漏りが起きる原因と屋根材設置のジレンマ
ここまで見てきたように、屋根の防水は「屋根材とルーフィングの二重構造」で行っています。しかし残念ながら、屋根材もルーフィングも経年による劣化は避けられません。紫外線や雨の影響をダイレクトに受ける屋根材は、劣化やひび割れが発生し、雨水の侵入を許すことになってしまいます。ルーフィングも、熱による劣化のほか、排水不良などで溜まった水による素材の劣化が起こります。
これらの劣化が進むと、ルーフィングを貫通している屋根材留めのビスや釘の穴が大きくなり、そこから雨水が浸入します。雨水は下層の野地板や垂木まで腐らせてしまい、雨漏りにつながってしまうのです。つまり、ルーフィングに開けられたビスや釘の穴が、雨漏りの原因となるケースも多いのです。
さらに細かく見ていきましょう。屋根材を固定する際に行うビス打ちや釘打ちは、ビスや釘を野地板まで貫通させる(打ち抜く)ことで、より強く固定されます。強風などでも屋根材を飛びにくくする、安全のための正しい施工です。しかしながらこの貫通した釘の部分が長年の強風などでゆるみ、雨水の侵入の原因となります。さらに釘が熱橋(ヒートブリッジ)となり、外気の影響で結露を起こし、カビの発生や構造材の腐食などを引き起こす恐れもあります。高気密・高断熱化が進んだ現代の住まいでは特に注意が必要で、小屋裏換気(棟換気)を設計段階で盛り込むことが重要になります。
安全のための工法が、ルーフィングの本来の防水機能を弱め、雨漏りや結露の可能性を大きくしています。しかし穴を開けないようにするために釘打ちをやめると、屋根の台風や地震に対する安全性は保たれません。このジレンマを解決してくれるのが、「ポリフォーム」という強力な接着剤です。
■釘のいらないポリフォームが安全・雨漏りのない屋根づくりを実現
ポリフォームとは、硬質ウレタンフォームでできた、屋根材用の強力な接着剤です。その接着力の強さは、毎年猛烈なハリケーンによる屋根被害が発生する米国フロリダ州の条例で、屋根材の施工にポリフォームの使用が義務化されていることからも実証済みです。釘なしでしっかりと屋根材を固定するので、「雨漏りをさせたくないのに、防水シートや野地板に穴を開けなければならない」という問題も解決してくれます。つまり台風や地震に対して安全な上に、屋根の劣化の心配を減らし、メンテナンス周期を延ばせるのです。地震や台風の多い日本には最適な施工方法と言えるでしょう。
屋根の補修をお考えなら、ポリフォームによる施工を検討してみてはいかがでしょうか。補修用に適したポリワンによる対応も可能です。ご検討の際は、全国のポリフォーム日本代理店会加盟店へいつでもご相談ください。
【ポリフォーム日本代理店会】
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