「瓦」と聞くと、伝統的な日本家屋や木造住宅に使われている日本瓦をイメージされる方が多いかもしれませんが、最近では「洋瓦」を使った住宅も増えています。
プロバンス風や南欧風などのおしゃれな洋風住宅には、洋瓦が似合います。実は日本における洋瓦の歴史は意外に古く、現在では形や素材など、さまざまな種類のものが普及しています。
そこで、この記事では洋瓦の種類やメンテナンス方法についてご紹介したいと思います。
■フランス瓦やスペイン瓦から改良された国産の洋瓦~洋瓦の歴史~
日本で使われる洋瓦は、外国から直接輸入されるものもありますが、日本の気候に合わせてアレンジされた国産の洋風瓦も数多く製造されています。
明治時代の初頭、横浜の外国人居住区などの洋風建築に日本の瓦が合わないことから、フランス人のアルフレッド・フェラールが日本で初めてフランス型の瓦を製造しました。そして、大正時代には、フランス瓦をもとに洋瓦が国内で製造されるようになったのです。その他にも、大正時代末期に輸入されたスペイン瓦をもとにした国産のスペイン風瓦なども開発されました。
その後、日本の景色にも似合うおしゃれな洋風瓦の需要も増え、形状や原料などさまざまな洋瓦が製造されています。
瓦はそれぞれの国や地域の気候を考えて作られています。ご自宅に洋瓦を取り入れたい場合は、日本の気候に合わせて作られた国産瓦にしたり、屋根の形状や瓦の素材を考慮したりするなど、施工後のメンテナンスも含めて検討することが大切です。
■形状による洋瓦の種類
洋瓦は形によっていくつかの種類に分けられ、瓦の形によって住宅の雰囲気も変わってきます。(画像引用:三州瓦Webより)
・F形瓦(平板)
F形瓦は、フランス瓦をベースに改良されたフラットな形状の瓦です。凸凹が少ないため、洋瓦の中でもスッキリとした軽やかな印象に仕上がります。施工が比較的簡単なため短期間で屋根工事ができ、洋瓦の中で最も普及しています。
・S形瓦
S形瓦は、大正時代に日本に伝わったスペイン瓦から改良されたデザインで、S字型に波打った形状の瓦です。S形瓦を採用すると、屋根全体が丸みを帯びたかわいらしい雰囲気になります。赤土色のものが多く、南欧風の住宅をご希望の場合に最適です。
「F形瓦」や「S形瓦」以外にも、いろいろな形状の瓦があります。例えば、「バレル瓦」は、ローマ時代に起源があるといわれ、何世紀にも渡って地中海地域で使われてきた伝統ある瓦です。筒の半円状の瓦を、上丸と下丸で組み合わせていくことで、瓦の山が大きく、谷部分が狭く反り上がる美しい波型が連なった屋根に仕上がり、リゾート風の本格的な南欧風住宅を再現できます。
瓦の形の違いによって、屋根全体のイメージを大きく変えることができます。ご希望の住宅の雰囲気に合わせて洋瓦の形を選ぶとよいでしょう。
■主原料による洋瓦の種類
洋瓦は、原料によって4つの種類に分けられます。主原料ごとに、耐久性や価格、メンテナンスの方法が異なります。洋瓦を使用する場合は、必ず主原料を確認しましょう。
・粘土瓦
粘土を練って焼いて作られた粘土瓦です。洋瓦の中では粘土瓦が最も普及しており、「F型瓦」「S型瓦」などの多くは粘土を原料として作られています。
・セメント瓦
石灰岩と水を混合したセメントを主原料に作られています。塗料によって色付けされているため、色褪せや給水による劣化が見られ重量もあることから、現在では生産が少なくなっています。
・モニエル瓦
モニエル瓦はセメント瓦の一種で「乾式コンクリート瓦」とも呼ばれますが、主原料は軟化コンクリートを使用しています。「着色スラリー」という着色剤を表面に塗ることで、さまざまな色彩が表現できます。耐震性、断熱性に優れた屋根材ですが、現在は製造されていません。
・金属瓦
重さが粘土瓦の約1/10に軽量化された金属製の洋瓦も製造されています。使用される金属は、耐久性の高い「ガルバリウム鋼板」が主流となっています。
■洋瓦のメンテナンス
セメント瓦は塗料による色付けをしているので、10〜20年に1度程度、塗り替えが必要になります。
モニエル瓦は、10年程で着色スラリー層が劣化し、色褪せや苔が発生してきます。再塗装時には、スラリー層を全て撤去しておかないと、新しい塗料が残ったスラリー層の劣化とともに剥がれてしまうので注意しましょう。
金属瓦は、耐久性が高く再塗装も不要です。ただしキズやへこみから錆びてしまう可能性もありますので、10〜20年周期で定期的なメンテナンスを行いましょう。
粘土瓦であれば、和瓦と同様に再塗装などのメンテナンスは不要です。しかし強風による瓦のずれや飛散、また漆喰部分が剥がれるなどの不具合が発生することがあります。特に最近頻発するようになった地震や巨大化している台風に対しては、それに応じた対策が必要です。
■おしゃれな洋瓦を最強の施工方法で守る!
洋瓦は、形や素材など多くの種類があり、それに応じた施工方法があります。しかし、その中でもおすすめしたいのが、ポリフォーム工法による施工です。
日本では過去の記録を上回る巨大台風の上陸が増えていますが、ポリフォーム工法は、ハリケーン被害の多い米国フロリダ州の条例で義務化されているほど、強力に瓦留めができる施工方法です。
瓦が割れると修復が難しい歴史的建造物での実績も多く、「台風銀座」とも呼ばれる沖縄県の大型物件でも多数採用されています。
(東京都文京区本郷にある東京大学七徳堂の屋根瓦も、ポリフォーム施工例の1つです|画像引用:東京都都市整備局)
おしゃれな洋瓦の住まいを建てるなら、台風などの災害時でも安心して過ごせるポリフォーム施工で、大切な屋根を守る備えをしてみてはいかがでしょうか。
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