屋根の形で雨漏りのリスクが変わる! 屋根形状による雨漏りの違い

屋根の形で雨漏りのリスクが変わる

 

昔の街並みや伝統的な家屋が保存された地域に行くと、同じ形状の屋根が並んだ景観をご覧になることもあるかと思います。長い年月をかけて、それぞれの地域の気候や風土に合わせた屋根が作られているのです。

 

最近では、洋風住宅が増えて建築材が進化したこともあり、地域にかかわらず、さまざまな形状や材質の屋根を見かけるようになりました。

 

デザイン的に複雑で格好のよい屋根もありますが、屋根は形状によって雨漏りのリスクが変わってくることをご存じでしょうか? 今回は、屋根の形状と雨漏りのリスクについてみていきましょう。

 

屋根の形状と雨漏りのリスク
(画像出典:メタル建材)

 

 

■屋根形状の特徴と雨漏りのリスク

 

日本で代表的な屋根といえば、切妻屋根や寄棟(よせむね)屋根などです。今回はそれらも含め、全8種類の基本的な屋根形状の特徴と、雨漏りのリスクについてご紹介します。

 

(1)切妻(きりづま)屋根
頂上部から2面の屋根が伸びた一般的な造りで、雨漏りに強いと言われています。雨漏りが発生する際には、大棟と呼ばれる2面の接合部分が原因になっていることが多くあります。構造がシンプルなため、屋根の施工やメンテナンスに時間がかからず、安価で工事をすることができます。

 

切妻(きりづま)屋根

 

(2)寄棟(よせむね)屋根
寄棟屋根は、大棟から左右に2面、前後にも2面の計4面を寄せ合わせた屋根です。雨漏りにも強く、4方向で日差しや雨を防いでくれます。屋根の施工コストは高まりますが、雨量を4方向に分散でき、風への耐久性も高くなります。

 

寄棟(よせむね)屋根

 

(3)片流れ屋根
1面だけの屋根で、片方向にのみ斜面があります。太陽光発電を導入する際のメリットが多く、モダンでおしゃれに仕上がるため、最近人気が出てきています。屋根が一方向にのみ向いているので、落ちた雨水が雨樋に集中し、屋根勾配が緩いと屋根に雨がたまりやすくなるため、雨漏りの可能性は高まります。

 

片流れ屋根

 

(4)入母屋(いりもや)屋根
4面の寄棟屋根の上に、2面の切妻屋根を載せたような形状です。昔から純和風の大邸宅に多く採用されてきた屋根形状です。屋根裏の通気性や断熱性に優れていますが、複雑な形状になる分、施工コストが非常に高くつくことに加え、雨漏りのリスクが増えたり、修理・メンテナンスの費用が高めにかかったりします。

 

入母屋(いりもや)屋根

 

(5)陸(ろく)屋根
平屋根とも呼ばれ、屋根に傾斜がなく、平面状の屋根を指します。屋上を活用することが可能になりますが、傾斜がないため雨水が溜まりやすく、排水溝が詰まることで雨漏りしやすくなります。そのため、おおよそ10年ごとの防水工事などのメンテナンス費用も必要になってきます。

 

陸(ろく)屋根

 

(6)方形(ほうぎょう)屋根
ピラミッドのような形をした4面の屋根です。寄棟屋根に似ていますが、方形屋根は1点から4方向に傾斜がついた形になっています。切妻屋根と同様に雨が4方向に流れて行くため、一面で受ける雨水の量が少なく済みます。

 

方形(ほうぎょう)屋根

 

(7)招き屋根
2面の切妻屋根の片側を長く急勾配にした屋根です。招き屋根にすると施工費用が抑えられ、室内空間が高くなる分ロフトや収納スペースが作れるメリットがあります。勾配があることで、屋根の負担が分散され耐風性が高まりますが、屋根と屋根の境界線には雨が溜まりやすくなります。

 

招き屋根

 

(8)はかま腰屋根
切妻屋根の棟を少しだけ切り取ったような形の屋根で、「隅切り」「半切妻」とも呼ばれています。建築基準法の道路斜線制限で高さや幅に問題がある場合に、はかま腰屋根にすることで制限に収まるようにできます。しかし棟が複雑になるため、雨漏りのリスクは高まってしまいます。

 

はかま腰屋根

 

このように、屋根の形状によって、それぞれ特徴や雨漏りが起こる可能性が異なってきます。それでは、なぜ屋根の形の違いで雨漏りのリスクが変わってくるのでしょうか。

 

 

■雨水の侵入を防ぐ仕組み

 

形状によって雨漏りリスクが変わる理由を知るために、まずは、屋根が雨水の侵入を防ぐ仕組みを知っておきましょう。

 

雨漏りを防ぐ方法には、建物の表面や防水シートで雨水の侵入を防ぐ「防水」と、雨水を適切に排水することで建物内部に浸水させないようにする「雨仕舞い(あまじまい)」があります。

雨水の侵入を防ぐ仕組み

(画像出典:田島ルーフィング)

 

雨漏りが起きやすいのは「取り合い」と呼ばれる、違う部材が接合する部分です。ここに雨水が溜まったり、スムーズに流れて行かなかったりすると雨漏りが発生してしまいます。そこで、瓦屋根では谷樋(たにとい)、スレート屋根や金属屋根では棟板金・ケラバ・軒先、屋根と外壁の取り合い部分の雨仕舞いが重要になってくるのです。

 

雨仕舞いは、防水シートを敷いた上に「水切り金具」と呼ばれるサビに強い金属の板を設置し、シーリング材で隙間を埋めます。水切り金具で雨水が溜まらずに流れていくようにすることで、雨水の侵入を防ぐのです。

 

 

■雨漏りリスクの低い屋根の特徴

 

次に、屋根形状の特徴をみることで、雨漏りのリスクを知ることができます。

 

・単純な屋根形状
違う部材が接合する取り合い部分では雨漏りが発生する危険性が高まります。つまり、屋根の形状が複雑になればつなぎ目が増えることになるため、雨漏りのリスクもそれだけ高まるのです。単純な屋根形状にすることで、雨漏りの危険性を低くできます。

 

・急勾配の屋根
屋根の勾配(傾斜)が緩いと水はけが悪くなり、雨漏りや屋根の劣化に繋がります。勾配が急になればなるほど、雨漏りリスクを回避できます。屋根材によって必要最低勾配が決まっており、瓦屋根は構造上、瓦の種類にもよりますが、一般的に屋根の勾配が4寸勾配(水平距離10寸に対して高さが4寸)以上と1番急なため、雨漏りのリスクをそれだけ軽減できるのです。

 

・深い軒(のき)
屋根と外壁の隙間からも雨漏りは発生します。軒が深いほど外壁に雨水がかかりにくくなるため、雨漏りを抑制できます。

 

深い軒の屋根

 

 

■雨漏りリスクを下げて大切な住宅を守る

 

ここまでご紹介した内容とまとめると、まず、雨漏りしにくい屋根形状にすることで、雨漏りのリスクを低くすることができます。また勾配が緩い屋根の場合、雨水が屋根材の裏側に侵入しやすいので、防水シートの役割が重要になってくることがご理解いただけたかと思います。

 

しかしこの防水シートは「雨水を防ぐ最後の砦」であるにも関わらず、屋根材を留める際の釘打ちで発生する釘穴により、雨水の浸入を許すきっかけとなってしまっています。そこでおすすめしたいのが、釘なし工法の「ポリフォーム」や「ポリワン」での施工です。
「ポリフォーム」「ポリワン」は、毎年ハリケーンが上陸する米国フロリダ州の条例で義務化されているほどの、強力な屋根材の接着剤です。釘やビスを使わずに屋根材を固定できるため、このような雨漏りの可能性を回避することができるのです。

屋根工法比較

また「ポリフォーム」や「ポリワン」を使うことによって、通常は4寸以上の勾配が必要な粘土瓦でも、フラットに近い緩い勾配の屋根を作ることができます。屋根デザインの自由度を大きく広げてくれるのも嬉しいポイントです。

 

雨漏りを放置してしまうと野地板の腐食などで建物の劣化を早め、カビの発生やシロアリの被害などに拡大してしまいます。大切な住まいを守るためにも、屋根の施工から修理まで、ポリフォームやポリワンを使って雨漏りのリスクを最低限に抑えましょう。

 ポリフォームやポリワンを使って雨漏りのリスクを最低限に抑える

 

【ポリフォーム日本代理店会】
http://www.polyfoam.jp/

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